コンドルセ『公教育の原理』



はじめに

コンドルセ 公教育の父と称されるコンドルセ。

 フランス革命期に活躍した、政治家・数学者・思想家だ。

 ジロンド派に近づいたことで、急進的な山岳派と対立。ジロンド派の失墜に伴って、彼自身も投獄され獄中服毒自殺を遂げた。

 しかし彼が示した「公教育の原理」は、今もわたしたちの教育を支える力強い原理であり続けている。


1.公教育の原理

「公教育は国民に対する社会の義務である。」

 コンドルセはまずこのように主張する。そして言う。

「人間はすべて同じ権利を有すると宣言し、また法律が永遠の正義のこの第一原理を尊重して作られたとしていても、もし精神的能力の不平等のために、大多数の人がこの権利を十分に享受できないとしたら、有名無実にすぎなかろう。」

 つまり公教育は、権利の平等を実質化するという本質をもったものなのだ。

 フランス革命を経て、市民は法律によって「自由」と「平等」を手に入れた。

 しかしコンドルセは言う。この「自由」と「平等」は、教育によって初めて十全なものになるのだと。

 「権利の平等の実質化」、そして、そのためにすべての子どもに「知識および品性とその獲得の手段を保証する」こと。これがコンドルセの提示した公教育の原理である。


2.
公教育は知育のみを対象とすべきである


「公権力は思想を真理として教授せしめる権利を有しない」

 専制政治からの解放によって、市民は思想の自由を手に入れた。それゆえこの思想の自由を保障するために、公教育は思想教育を排し「知育」に限定するべきである。コンドルセはそう主張する。


3.男女共学の思想
 
「男子に与えられる教育に、女子も参加することが必要である」

 市民の権利は皆平等だ。だからそこには男女の区別はない。コンドルセはそう主張した。

 ルソーですら、男女の教育は別々が当然だと考えていた(ルソー『エミール』のページ参照)。

 その意味で、コンドルセのこの思想はきわめて先駆的なものだったといっていい。
 

5.その他名言

 最後に、本書から印象的な文章をいくつか引用しておきたい。

「法律さえ立派につくられていれば、無知な人間も、これを能力ある人間となすことができ、偏見の奴隷である人間も、これを自由ならしめることができると想像してはならない。」

「天才は自由であることを欲するものであって、いっさいの束縛は天才を委靡させるものである。」


「法律を愛するとともに、法律を批判することができなければならない。」


(苫野一徳)

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